ガイド
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はじめに

海水アクアリウムのディスプレイ水槽に関する入門ガイド。よくある誤解、基本的なガラスの厚み選び、補強の役割、シリコンの選び方、外部式オーバーフローを推奨する理由をわかりやすく紹介。初心者やDIYに最適です。

みなさん、こんにちは!

このブログシリーズでは、私が長年の海水アクアリウム飼育を通じて得た知識と経験を共有したいと思います。各投稿で特定のトピックを詳しく取り上げますので、ぜひ最初からの順を追って読んでいただければ幸いです。

それでは始めましょう。

最初に取り上げる基本的なトピックは「ディスプレイ水槽」です。なぜディスプレイ水槽から始めるのかというと、一見シンプルに見えますが、多くの初心者が最初の段階から重大なミスを犯しやすい部分だからです。

ガラスの強度と床の安全性

初心者によくある心配は、「水槽のガラスが割れるのでは?」や「水槽の重さで床が抜けるのでは?」ということですが、このような心配は全く不要です。ご自宅の床が腐っていたり、きしんだり、不安定でない限り問題はありません。例えば、私は体重約100キロですが、ジャンプするとその瞬間の床への衝撃は200~300キロに達します。もし20x20cmの狭い範囲でのジャンプに床が耐えられるのであれば、2トン(2000kg)の重さでも水槽台の広い面積に分散されるので全く問題ありません。この点は安心して大丈夫です。

ガラスの適切な厚みの選び方

水槽の最適なガラス厚を決定する際は、水槽製作の経験豊富なプロのアドバイスを受けるのが理想的です。

しかし、私のようにDIYで自作水槽に挑戦したい方は、私が長年愛用している計算機をぜひ活用してみてください。これまで私が製作した30 cmから180 cmまでのすべての水槽は、この計算機を基に設計しています。

厚みが決まったら、台が滑らかで平坦であり、間に柔らかいクッション材を挟んでいれば、底面に多少の不陸があっても問題ありません。水槽ガラスにはある程度の柔軟性があり、わずかな凹凸には対応できます。

多くの水槽製作者は、コーナー部に縦方向(長手方向)の補強ブレースを入れて水槽を補強することも推奨しています。横方向(短手方向)のブレースは圧力が低いため通常必要ありませんが、縦方向のブレースは、特に前面パネルなどの高圧部で気泡や剥離が起こるのを防ぐために重要です。

ブレースを入れると接着面の幅が増し、構造強度が大きく向上します。見た目が若干損なわれるかもしれませんが、実用面でのメリット非常に大きいです。最終的な仕様については、必ず水槽製作者に詳細を確認してください。

フランジ加工(ブレース)の重要性

フランジや強化ストリップが必要かどうか迷う人が多いですが、私のアドバイスとしては「絶対に使った方がいい」です。私は初心者の頃、見た目を優先してフランジを付けずに後悔した経験があります。フランジがないと、魚が水槽から飛び出す問題が頻繁に起きます。底砂をかき混ぜ、デトリタスを管理する役割のハゼ類(ゴビー)などの魚を何度も失いました。

水面と水槽の縁の距離がわずか数センチでも、魚は簡単に飛び出してしまい、数時間から数日で水槽の裏側で干からびてしまいます。

中央のフランジは視界や照明を多少妨げるかもしれませんが、左右や前後の端に幅3センチ以上、できれば大きな水槽では幅5センチのフランジを設置することで、水槽の強度が格段に上がります。これによりガラスの厚みを抑えることも可能で、費用を節約しつつ安全性も維持できます。専門家も、補強材の利点が美観への影響より遥かに大きいことを認めるでしょう。

また、磁石スクレーパーで掃除する際の水の飛び散りをフランジが抑えてくれます。フランジがないと掃除に2倍の時間がかかり、水が常に飛び散って余計な掃除が必要になります。フランジがある場合とない場合を経験したことがある人なら、この違いはすぐに理解できるはずです。

シリコン接着剤:透明 vs 黒

私は何度も強調していますが、シリコン接着剤は透明なものを使いましょう。「黒のシリコンの方が強い」という広く知られている誤解がありますが、実際には透明なシリコンの方が視覚的にもすっきりし、アクアリウムの美しさを引き立てます。

さらに、透明なシリコンはガラス板の間で損傷や剥がれを素早く見つけられるという重大な利点があります。黒のシリコンでは早期の異常発見が難しく、懐中電灯で念入りな点検が必要になります。見逃された問題は、最終的に深刻な漏水を引き起こし、床や設備を損傷する可能性があります。

また、水槽が接着された直後は、接着剤層(約2mm)の厚さのため内部の気泡や欠陥をすぐに見つけることは困難です。水を張ってから問題が発覚すると、再接着が必要になることもあります。透明なシリコンを使用することで、このリスクを大幅に軽減できます。

オーバーフロー:内部式 vs 外部式

オーバーフローには内部式と外部式があります。可能であれば外部式をおすすめします。内部式は調整やメンテナンスが難しく、水槽下の狭いサンプ内での作業が非常に不便です。

外部式のオーバーフローは視認性が高く、調整や修理が簡単です。問題が起きても水位を下げて簡単に取り外し、新しいものを接着することが可能です。一方、内部式オーバーフローの漏水は気付きにくく、特に停電時などに徐々に水槽の水をサンプに漏らしてしまい、大きな被害を引き起こすことがあります。

内部式のオーバーフローを修理する際には、水槽内の海水をすべて抜き、オーバーフロー部分を切断して再接着するなど、多くの困難が伴います。内部式のオーバーフローの修理には、費用も時間も労力もすぐに大きくなりがちです。だからこそ、私は可能な限り外部式のオーバーフローを選ぶことを強くおすすめしています。外部式であれば交換や修理が容易で、システムの再稼働も迅速に行えます。

以上がディスプレイ水槽についての説明でした。

次回はサンプについて解説します。

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